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分子の充填によるモデリングと液体の分子動力学シミュレーション#

分子の充填機能#

Advance/NanoLaboにはユニットセルの空隙に任意の分子を充填する機能があります。この機能を用いることで、固液界面や溶液のモデルを容易に作成することができます。

分子の充填機能を用いたナノシミュレーション向けのモデリング例を3例ほど示します。1例目は水-メタノール混合系、2例目はアナターゼ二酸化チタン-水界面、3例目はグラフェン-水界面です。あらかじめ作成したスラブモデルなどに対して溶媒分子種とその濃度を指定するだけで、溶媒を含んだモデルを自動で作成することができます。

Tips

真空のユニットセルに分子を充填することで、気相または液相のみを含むモデル(本事例では水-メタノール混合系)を作成することができます。

溶媒の存在は反応機構や物性に大きな影響を与えるため、溶媒分子を考慮したモデルを用いることで、現実系により近い精緻なシミュレーションを行うことが可能になります。

水-メタノール混合系 アナターゼ二酸化チタン-水界面 グラフェン-水界面
(例1) 水-メタノール混合系 (例2) アナターゼ二酸化チタン-水界面 (例3) グラフェン-水界面

液体の分子動力学シミュレーション#

本事例では分子の充填機能を用いて水・メタノール・水-メタノール混合系(体積分率1:1)のモデルをそれぞれ作成し、常温常圧(300K・1bar)の条件下でNPTアンサンブルによる分子動力学シミュレーションを行いました。力場にはOPLS-AA1を採用しています。シミュレーション時間は100psです。

以下に3つの系(水・メタノール・水-メタノール混合系)のモデル・温度変化・密度変化・アニメーションを示します。

#

水のモデル 温度変化 密度変化
水のモデル 温度変化 密度変化

メタノール#

メタノールのモデル 温度変化 密度変化
メタノールのモデル 温度変化 密度変化

水-メタノール混合系#

水-メタノール混合系のモデル 温度変化 密度変化
水-メタノール混合系のモデル 温度変化 密度変化

解析結果#

3つの系(水、メタノール、水-メタノール混合系)いずれにおいても、温度は300Kに収束しています。また、いずれの系においても、水分子とメタノール分子がユニットセルの中を激しく動き回っている様子が動画より分かります。

各系の密度を下表に示します。水およびメタノールの密度は実験値とよい一致を示しています。また、水-メタノール混合系の密度は0.89g/cm3となっており、各1成分系(水・メタノール)の中間的な値をとっています。

密度(計算値)2 (g/cm3) 密度(実験値) (g/cm3)
1.00 0.9950 (25℃) 3
メタノール 0.75 0.7866 (25℃) 3
水-メタノール混合系 0.89 0.9272 (20℃) 45

リンク#


  1. OPLS-AA(All-Atom Optimized Potentials for Liquid Simulations)は生体分子のシミュレーションなどに用いられる力場です。 

  2. 50psから100psまでの時間平均の値。 

  3. S. Kim, et al: "PubChem 2019 update: improved access to chemical data. Nucleic Acids Res." 2019 Jan 8; 47(D1):D1102-1109. 

  4. 日本化学会(編): "改訂5版 化学便覧 基礎編II", 丸善 (2004) 

  5. メタノールの割合が44質量パーセント(本計算事例に用いたモデルと同様の値)のデータを記載しました。