汎用グラフニューラルネットワーク力場の比較:エネルギーの格子定数依存性#
汎用グラフニューラルネットワーク(GNN)力場はニューラルネットワークを使うことで従来の力場よりも高い汎用性・精度を実現しています。多くの大学、研究機関、企業によって開発・公開されていますが、アドバンスソフトではLAMMPSを改修して各GNN力場への対応を追加し、Advance/NanoLaboから使えるようにしています。
本事例では各GNN力場の比較の一例として、立方晶ペロブスカイト結晶であるSrTiO3を対象としたエネルギー計算を行います。多元系でも適用できる汎用性を示しつつ、安定構造から格子定数を変化させた場合でも十分に精度良く計算ができるかどうか確認します。
格子定数が異なるモデルの作成#
Materials Projectから取得したSrTiO3の構造ファイル(mp-5229)を元に、等方的に格子定数を-15%から+15%変化させてモデルを作成しました。

結果#
各GNN力場を使ってモデルのエネルギーを計算しました。比較のためQuantum ESPRESSOによるDFT計算も行い、元の構造に対するエネルギー差をプロットしました。
結果、±15%では多少のずれが出てくるものの、どのGNN力場でも十分な精度でDFTのエネルギー差を再現できていることが分かります。このような解析は、物質の機械特性や構造転移の予測に応用することができます。