Advance/JIANTを用いた回路の最適設計#
目的#
Advance/JIANTと回路シミュレータLTSpiceを利用して、マルチバイブレータモデルのパルス発信回路の矩形波を最適化します。
具体的には、Advance/JIANTを利用して、回路設計で必要な
- 最適な電源電圧
- ベース側抵抗
- エミッタ側抵抗
- コンデンサ容量
の4つのパラメータを求めます。
ここで、「最適な」指標とは、
- デューティ比が目標に近いこと
- 特性周波数が目標に近いこと
- 目標とするパルスとの残差二乗平均が小さいこと
を意味します。
対象モデル概要#

- トランジスタ2つで作成できる、もっとも単純な非安定(常に発振を続ける)の発振回路です。
- Rbase=R2=R3, C=C1=C2のとき、 のパルスを発信します。
- R1, R4は発振周期にはほぼかかわりませんが、発振パルスの波形に影響します。
Remit=R1=R4とすることで、パルスの矩形波も対称となります。
- このケースではRbase, Rt, Cを入力パラメータとし、R4にかかる電位差V(t)から計算したパラメータから評価を行います。
設計基準#
入力パラメータ#
表示名 | キー名 | 単位 | 標準値 |
---|---|---|---|
電源電圧 | V0_env | - | 5 |
ベース側抵抗 | Rbase_env | - | 4000 |
エミッタ側抵抗 | Remit_env | - | 100000 |
コンデンサ容量 | C_env | - | 0.000000068 |
製品パラメータの水準設定#
No. | 表示名 | キー名 | 単位 | 水準1 | 水準2 | 水準3 | 水準4 | 水準5 | 水準6 | 水準7 | 水準8 | 水準9 | 水準10 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ベース側抵抗 | Rbase_env | - | 60000 | 70000 | 80000 | 90000 | 100000 | 110000 | 120000 | 130000 | 140000 | 150000 |
2 | エミッタ側抵抗 | Remit_env | - | 4100 | 4200 | 4300 | 4400 | 4500 | 4600 | 4700 | 4800 | 4900 | 5000 |
3 | コンデンサ容量 | C_env | - | 6E-08 | 6E-08 | 6E-08 | 6E-08 | 7E-08 | 7E-08 | 7E-08 | 7E-08 | 7E-08 | 7E-08 |
評価パラメータ#
表示名 | キー名 | 単位 | データ同化係数 |
---|---|---|---|
デューティ比 | Duty | 個 | - |
特性周波数 | Freaqency | 個 | - |
残差二乗平均 | Residual | 個 | - |
評価の方法#
- FFT による評価を行うため、こちらのモデルでは Python を使用して評価値を計算します。
- まず に対して numpy で FFT を行い、最も強度の高い周波数成分 と、その初期位相 を導出します。
- 目標パルス関数 を、目的周波数 , 初期位相 で作成します。
-
と の残差二乗平均 は、 であるとき、 が完全なパルス波形に近づくほど小さい値になります。
-
JIANTで評価するパラメータは からの乖離率 と の、パルス自体の Duty 比とします。
評価結果#

Advance/JIANTのより、多水準直交表による計算から得られた要因効果図により、4つの設計パラメータの指標に対する感度を求めることができました。
関連ページ#
- 品質工学ツール Advance/JIANT
- 産業分野:自動車・運輸
- 産業分野:航空宇宙
- 解析分野:AI・品質工学