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4気筒エンジンモデルの評価#

目的#

Advance/JIANTを用いて、MBD推進センターから公開されている4気筒エンジンモデルの評価を行いました。評価するパラメータは、

  • 平均トルク:出力トルクの計測時間中の平均値

  • 平均IMEP:4気筒すべての計測期間中の図示平均有効圧力

  • 平均PMEP:4気筒すべての計測期間中のポンプ損失平均有効圧

  • 平均NMEP:4気筒すべての計測期間中の正味図示平均有効圧力

の4つです。

対象モデル概要#

MBD推進センターJAMBEでは、下記に示す4気筒エンジンモデルを公開されています。本モデルを利用して4つの量の評価を行いました。

設計基準#

JIANTを使った解析では、シミュレーションの条件を決める入力パラメータと、計算結果から求める評価対象の出力パラメータをそれぞれ複数設定できます。また、入力パラメータのうち設計者がコントロール可能なパラメータを設計直行表、環境や運用方法などコントロールできないパラメータを運用直行表に振り分けます。このように分けることで、設計パラメータの運用要因による応答を確認し、ロバストな設計範囲を求めることができます。

入力パラメータ#

製品パラメータの一覧と水準設定#

製品パラメータは、11パラメータを選びL27(3^13)直行表に割り振りました。

No. 表示名 キー名(参考) 単位 水準1 水準2 水準3
1 総排気量 engine.V_displacement cm3 1800 2000 2200
2 圧縮比 engine.compressionRatio - 11 12 13
3 吸気パイプ容積 engine.V_intakePipe cm3 900 1000 1100
4 吸気パイプ直径 engine.d_intakePipe mm 90 100 110
5 吸気スロットル径 engine.d_throttle mm 90 100 110
6 吸気マニホールド容積 engine.V_intakeManifold cm3 900 1000 1100
7 吸気バルブ直径 engine.d_valve_intake mm 27 30 33
8 排気バルブ直径 engine.d_valve_exhaust mm 32 35 38
9 排気マニホールド容積 engine.V_exhaustManifold cm3 1800 2000 2200
10 排気パイプ直径 engine.d_exhaustPipe mm 36 40 44
11 ボア径 engine.bore mm 82 86 90

運用パラメータの一覧と水準設定#

No. 表示名 キー名(参考) 単位 水準1 水準2 水準3
1 空燃比 engine.airByFuel - 14 15 16
2 噴射開始角度 engine.injectionStart deg -75 -70 -65
3 噴射期間 engine.injectionPeriod deg 1.3 1.8 2.3
4 点火タイミング(BTDC) engine.phi_combustion_begin deg -5 0 5
5 燃焼終了タイミング engine.phi_combustion_period deg 55 60 65
6 排気バルブ最大開放タイミング(ATDC) engine.exhaustValveCentor deg -130 -125 -120
7 吸気バルブ最大開放タイミング(ATDC) engine.intakeValveCentor deg 120 125 130
8 エンジンRPM engineSpeed.w rev/min 3000 4000


L27とL18の直行表の総当たりの組み合わせ計算を行うので、486ケースの計算を実行することになります。実際に使用しているパラメータは3水準のものが18、2水準のものが1つなので、総当たりした場合約8億通りの組み合わせになります。こよように、直行表を使用することで各水準の頻出度を平等にしつつ、試行回数を1/160万と大幅に圧縮することができました。

評価パラメータ#

評価パラメータについては、OpenModelicaの計算結果として直接出力されるものではないので、計算結果のファイルから自動で積分計算を行うpythonスクリプトを作成しています。 | 表示名 | 単位 | 説明 | |:-:|:-:|:-:| |平均トルク|N.m|出力トルクの計測時間中の平均値| |平均IMEP|kPa|4気筒すべての計測期間中の図示平均有効圧力| |平均PMEP|kPa|4気筒すべての計測期間中のポンプ損失平均有効圧| |平均NMEP|kPa|4気筒すべての計測期間中の正味図示平均有効圧力|

評価結果#



JIANTを動かすことで、各入力パラメータに対する各出力パラメータについての応答(要因効果図)を図のように得ることができました。これにより、目的とする出力パラメータを得るためには入力パラメータをどの程度の範囲の値に絞り込めばよいかを推定することができます。

今回の評価はOpenModelicaとJIANTの連携の検証であるため明確な設計目標を定めてはいませんが、実際の設計ではこれらのパラメータの応答から要件を満たすパラメータ範囲を推定し、二次、三次と同じようにJIANTを使用した探索を行っていきます。

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