閉空間内部の輻射伝熱解析#
閉空間内部に高温の発熱源が設置された場合の輻射を考慮した熱伝導解析の事例を紹介します。
解析条件#
発熱源が内部にある閉鎖空間において熱が伝播する様子を解析します。 初期温度は 15.0 [℃] として、時間増分 1.0 [s]で 60分間の非定常熱伝導解析を行います。

図1 解析モデル(赤い平板は熱源を表す)
-
計算モデル
寸法が
内側:底面 4×4 [m2]、高さ 3 [m]
外壁:底面 4.2×4.2 [m2]、高さ 3.2 [m]
壁の板厚:0.1[m]
である部屋を、 0.5 [m] ずつに分割したメッシュで再現します。
要素タイプは 8節点六面体一次要素 CHEXA8 です。
面積0.5×0.5 [m2]温度150℃の ヒーター(厚みはないとする)が室内の床の角にあり、 また、床上面は別途、均一に加熱されるとします。 -
材料物性
項目 | 値 |
---|---|
質量密度 | 2100 [kg/m3] |
比熱 | 880 [J/(kg・℃)] |
熱伝導率 | 1.5 [W/(m・K)] |
- 境界条件
- 熱伝達
外壁に、熱伝達係数:4.5 [W/(m2・K)]、雰囲気温度:15.0 [℃] の熱伝達境界条件を課します - 熱流束
室内の床上面から 1000 [W] の発熱があるとし、分割された各々の床面に対して分布熱流束 62.5 [W/m2] を与えます - 輻射
ヒーターから内壁に熱を放射します。 放射率:1.0
ステファンボルツマン定数:5.67×10-8 [W/(m2K4)]
として輻射熱伝達境界条件を与えます。
ただし、形態係数の値は各面の中心点を代表点として計算します。
つまり、面 の間の形態係数 を で求めます。ここで、最右辺の各値には中心点での値を用います。 は面 を結ぶ直線と面,面の法線ベクトルのなす角を意味します。
解析結果#
以下に
- 1) 時間 0min,3min,30min,60min における温度分布
- 2) 内壁と外壁の温度の推移の一例
を示します。
1) 温度分布
各々の図において、右側には解析モデルがあり、左側には解析モデルを床面と垂直な面で切ったときに熱源を含む方の立体があります。ここで、熱源は左側の立体の奥下にあります。

図1-1 時間 0min における温度分布

図1-2 時間 3min における温度分布

図1-3 時間 30min における温度分布

図1-4 時間 60min における温度分布
2) 内壁と外壁の温度の推移
inner1 (outer1) は熱源付近における内壁(外壁)上の点での温度推移を表しています。また、 inner2 (outer2) は熱源から離れた内壁(外壁)上の点での温度推移を表しています。

図2 特定の箇所での温度推移
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