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ボルトプリテンション解析#

ボルトのモデリングに関する文献1を参考に、Advance/FrontSTRでボルト締め付けを考慮した静荷重解析を実施した事例を、解析の手順と共に紹介します。

ボルトプリテンション解析の手順を図1に示します。初めにボルトの締め付け力を模擬する解析を実施し、締め付け後の変形および応力状態を解析します。続いて締付の変形応力状態を模擬したモデルを作成し、外荷重による解析を実施します。

図1 解析手順

解析手順#

2枚の板材をボルトで結合したモデルを考えます(図2)。ボルトとナットは一体構造のメッシュとしますが、締め付けを模擬するためにボルト軸部で分割し、ボルトヘッド側とナット側で別のモデルとします。ボルトヘッド・ナットと板材の間には接触条件を定義します。

図2 解析モデル

材料特性#

項目
ヤング率 206 [GPa]
ポアソン比 0.29

荷重ステップ1:ボルトプリテンション#

ボルトの軸断面に強制変位を負荷して生じた接触力の合計値がボルト締付荷重と一致する強制変位量を算出します。

  • ボルト締付荷重:1500 [N]
  • 締め付け荷重と同等の強制変位量の算出結果:0.0038[mm]
図3 荷重ステップ1 解析条件図

解析結果#

ボルトプリテンション荷重による変形および応力分布図を示します。ボルトの締め付け力が模擬されている事が確認出来ます。

図4 荷重ステップ1 解析結果図

荷重ステップ2:曲げ荷重による解析#

ボルトの締付荷重を負荷した状態で、板に曲げ荷重を加えます。

図5 荷重ステップ2 解析条件図

解析結果#

板に曲げ荷重を負荷した際の変形図および応力分布を示します。座面の応力分布は参考資料1のFig.8(a)に示されたSolid bolt modelの応力分布にも近似し、ボルトの締付荷重が考慮された曲げ解析が実施されている事が確認出来ます。

図6 荷重ステップ2 解析結果図

ボルト締め付けを模擬したモデルについて#

今回の解析では、荷重ステップ2でもボルト軸部の締付荷重をボルト軸部の強制変位で模擬して解析を行いました。この方法は荷重ステップ2で生じるボルト部の変形が大きい場合には、実現象との乖離が大きくなる可能性があります。今回ご紹介した方法以外に、締付状態を模擬するモデルを以下のような手順で作成する方法も考えられます。

  • 荷重ステップ1の変位量からメッシュの座標値を変形後に修正
  • ボルト軸部の切断面はMPC拘束を付加する
  • 荷重ステップ1のひずみ値を、荷重ステップ2の初期ひずみとして与える

関連資料#

ボルトプリテンション解析の事例は、構造解析ソフトウェアAdvance/FrontSTR ご紹介セミナー(2017年)の資料もご参照ください。

関連ページ#