蒸気ブローダウン解析#
解析対象#
原子炉格納容器内にある逃がし安全弁は、圧力容器が一定の圧力になると開いて高圧・高温の水蒸気を圧力抑制プールの水の中に排出して圧力容器の異常な圧力上昇を抑制する役割を持つ。このように内部の熱水や蒸気を意図的に外へ排出することをブローダウンと呼ぶ。 図 1 左に示すような原子炉格納容器内の圧力容器から圧力抑制プールまでの逃がし安全弁系を考える。この管路系を模式図として示したのが図 1 右である。
図 1 解析対象(左:圧力容器と圧力抑制プール、右:管路系模式図)
解析モデル#
解析対象を Advance/FrontNet/Γ で図 2のようにモデル化した。ここで各部圧力、配管形状等は解析用に推定値(参考[1])を使用した。時刻 10s までは定常解析とし、時刻 10s に異常を検知したと想定する。時刻 10s から蒸気止め弁が遮断(遮断速度を 0.1s/100% )と仮定する。時刻 10s から逃がし安全弁が動作(開速度を 0.1s/100% とし、5s 間開度を保持し、 その後、5s かけて閉まる)とした。水と水蒸気を扱うため、水―水蒸気 2 成分モデル(未リリース)を使用した。
図 2 管路系モデル
解析結果#
図 3に蒸気止め弁 1 次側の圧力と流速を示す。蒸気止め弁を急閉したことにより、流体の運動エネルギーが急激に圧力に変換され圧力上昇(スチームハンマー)が起こっていることが分かる。蒸気止め弁急閉に伴い蒸気止め弁 1 次側の流速は 0 付近を振動し、圧力波の跳ね返りによる一時的な逆流現象が確認できる(負の流速は逆流を表す)。逃がし安全弁が開いている間は圧力抑制プールへの逆流も起こっている。
図 4に逃がし安全弁2次側のボイド率と質量流量を示す。逃がし安全弁の開放に伴いボイド率が滑らかに上昇しており、配管内に溜まっていた水が蒸気によって押し出され、次第に水蒸気に置き換わっているプロセスが分かる。また質量流量の急激な立ち上がりから、短時間に大量の流体エネルギーが圧力抑制プール内へ流出していることが確認できる。
図 3 計算結果(蒸気止め弁1次側)(左:圧力、右:流速)
図 4 計算結果(逃がし安全弁2次側)(左:ボイド率、右:質量流量)
参考#
[1] https://www.tepco.co.jp/decommission/information/accident_unconfirmed/pdf/2017/171225j0132.pdf
関連ページ#
- 管路系流体解析ソフトウェア Advance/FrontNet
- 産業分野:原子力
- 解析分野:流体