液体管路系過渡解析#
解析目的#
仮想の液体管路系でポンプトリップを想定し、温度変化を調べます。
解析モデル・条件#
下図のように、高低差のある複数の循環ループによって炉心が冷却されている仮想の管路系を考えます。液体Naループのポンプトリップを想定して温度の時間変化を調べます。
図1 管路系モデル
Advance/FrontNet/ΓGUIによる設定画面#
図2 Advance/FrontNet/ΓGUIによる計算モデル
解析結果#
図3に定常状態の流量と温度をまとめます。
図3 定常状態
図4にポンプトリップ後の温度分布、図5に各部の温度の時間変化、図6に流量の時間変化をまとめます。トリップから約3分で液体Na系の温度が最高温度798℃となりました。
トリップ直後、流量は急激に減るが構造物の熱輸送が遅れることから温度変化にピークがみられます。ポンプトリップ後も高低差による循環流量が存在しています。
図4 トリップ後の温度分布
図5 温度の時間変化
図6 各部の流量の時間変化
参考またはご協力#
液体ナトリウム物性: http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=03-01-02-08 林田均他, “高速炉主配管用音波温度計のナトリウム試験”, サイクル機構技術, No.5 (1999).
伝熱管形状: JIS B 8249:1999多管円筒形熱交換器 http://kikakurui.com/b8/B8249-1999-01.html
液体管路系過渡解析のまとめ#
液体Naによる炉心冷却系でポンプトリップを想定した計算を行いました。
トリップ3分後に液体Na温度が約800℃まで上昇し、その後約700℃で落ち着きました。高低差による循環流量など、各物理量の振る舞いは想定した事象に対し、妥当な結果です。なお、液体Naの沸点は883℃なので、本解析では気化していません。
計算時間は全100メッシュ、定常解析500min、過渡解析500minに対し、陰解法を用いて64sでした。陽解法の約2000倍の高速化を達成しました。