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不活性ガス消火設備の解析#

解析対象#

不活性ガスを用いた消火設備は、IT サーバールームや美術館、電気室など水による消火が適さない空間に広く導入されている。本設備には、消防法等の基準によって「消火剤量の 90% を 1 分以内に放射できること」という厳格な性能要件が課せられている。高圧ガスボンベを開放した際の配管内の急激な圧力変動に伴う断熱膨張や臨界流などの複雑な圧縮性流体現象が発生することが知られている。

ここでは、図 1に示す消火設備の管路系を考える。


図 1 解析対象

解析モデル#

図 2のように、11 個のガスボンベ[1]から 20m の配管を通じて部屋(大気圧)に噴射する管路系モデルを考える。配管径は Φ80 とした[2]。ここで、摩擦は Churchill モデルとし、配管粗度を 1μm とした。また、容器弁のCv特性は線形特性とした。ガスボンベは「ガスホルダーモデル(容積一定条件)」を使用した。流体物性式は SRK 式とし、消化ガスは N2 が 100% の場合と、IG541 の場合と IG55 の場合の 3 種類の計算を実施した。


図 2 管路系モデル

解析結果#

時刻 10s から容器弁を開ける解析を実施した。図 3はガスボンベ圧力と温度、図 4はガスボンベ内の流体の質量である。弁を開けてから圧力、温度、質量は滑らかに減少しているが、温度は断熱膨張により 100K 以下まで下がった。物性式として SRK 式を使っていることや、外気からの入熱を考慮していないことが原因と考えられる。図 5に示すように配管圧力は、オリフィス 1 次側で最高 10MPaA 程度、配管末端で 2MPaA 以内となった。図 6に示したように、流速は臨界流により音速程度に抑えられた。 放出流量を時間積分することにより、消火剤量の 90% が 1 分以内に放射できていることを確認できる。


図 3 計算結果(左:ガスボンベ圧力、右:ガスボンベ温度)


図 4 ガスボンベ質量


図 5 圧力(左:オリフィス1次側、右:配管末端)


図 6 配管末端の流速

参考#

[1] さいたま市消防用設備等に関する審査基準2019

[2] ㈶日本消防設備安全センター、「消防用設備のしくみとはたらき(消火設備編)」、H12

関連ページ#