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高圧導管網過渡解析#

管路系流体解析ソフトウェア Advance/FrontNet 事例

解析目的#

総延長1000kmの仮想の高圧導管網で制御弁を考慮しながら、1日の消費量経時変化を想定した過渡解析や基地シャットダウン時の圧力変化を調べます。

パッシブスカラー機能をトレーサー粒子として使って、ガスの基地由来や経日変化を調べます。

解析モデル・条件#

図1に示すように、基地Aと基地Bから送出される都市ガス管路系があり、圧力制御がなされています。

途中で配管がつながっており、制御弁Cで圧力制御されています。

図1 高圧導管網モデル

図1 高圧導管網モデル

末端の流量は図2に示すような時間変化をしていると仮定します。

図2 消費量の経時変化

図2 消費量の経時変化

制御弁は図13のような制御系に従って下流圧力制御をしているとします。

図3 制御系ブロック図

図3 制御系ブロック図

解析結果(24時間過渡解析)#

図4に3時と21時の圧力分布を示します。消費量の多い21時では圧損が大きいため、圧力が3MPaG程度まで低下していることが分かります。

図5に圧力の24時間の変化を示します。出力の位置は右側の凡例の印の色とグラフの線の色が対応しています。消費量に従って圧力が変化していることが分かります。

図6にバルブ開度の時間変化を示します。消費量に従って圧力が変化するため、それに応じて開度を調整しています。制御弁CはB系の送出が足りない時間に開き、A系からのガスを受け入れています。

図7にパッシブスカラー機能を使った送出ガスの経日変化の識別を示します。制御弁C付近では1日目のガスが滞留していることが分かります。

図4 24時間過渡解析(圧力分布)

図4 24時間過渡解析(圧力分布)

図5 24時間過渡解析(圧力変化)

図5 24時間過渡解析(圧力変化)

図6 24時間過渡解析(バルブ開度変化)

図6 24時間過渡解析(バルブ開度変化)

図7 パッシブスカラー機能による送出ガスの経日識別

図7 パッシブスカラー機能による送出ガスの経日識別

解析結果(シャットダウン解析)#

図8に基地A、基地Bがシャットダウンした場合の圧力の時間変化を示します。11時に基地がシャットダウンしてから圧力が低下し続け、末端ではシャットダウンから9時間後の20時には1MPaGを下回っています。

図9にバルブの時間変化を示します。制御弁Cが途中から全開になっています。

図10にパッシブスカラー機能を使った基地由来ガス分布を示します。制御弁Cが全開になってA系からB系へガスが送出されている様子が分かります。

図8 基地A,Bシャットダウン時の圧力変化

図8 基地A,Bシャットダウン時の圧力変化

図9 基地A,Bシャットダウン時のバルブ開度変化

図9 基地A,Bシャットダウン時のバルブ開度変化

図10 シャットダウン後の基地由来ガス分布(パッシブスカラーによるトレーサー機能)

図10 シャットダウン後の基地由来ガス分布(パッシブスカラーによるトレーサー機能)

参考またはご協力#

導管網の圧力と管径: 国際石油開発帝石株式会社 直江津ラインおよび新長岡ライン延伸工事の完工について http://www.inpex.co.jp/news/pdf/2013/20130703-b.pdf

消費量: 平成23年度広域ガスパイプライン等整備実態調査(広域ガスパイプライン導入シミュレーション調査・分析事業)報告書、JFEエンジニアリング株式会社の中の“参考資料1”

高圧導管網過渡解析まとめ#

仮想の導管網にて圧力制御弁や消費量を想定して計算を実施しました。 24時間過渡解析では消費量の変化に対する圧力変化やバルブ開度変化を模擬することができました。また、パッシブスカラー機能によるトレーサー機能を使って、送出ガスの経日変化を図示しました。

基地のシャットダウン解析では、圧力の低下がみられ、圧力の閾値を1MPaGとすると、サバイバルタイムは9時間となりました。また、パッシブスカラー機能によるトレーサー機能を使って、ガスの基地由来分布を可視化しました。

全体的な振る舞いは実現象を再現するものとして妥当と考えられます。なお、本計算は230メッシュで半陰解法1を用いて545600sの計算を行うのに約1分でした。

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