圧縮空気の充填#
解析対象#
図1に示すように、圧力が一定値PHに保たれている容器があり、圧縮空気を初期圧力P0、体積Vの容器に充填する。
図1 解析対象
参考文献のモデル#
参考文献[1]に合わせ、以下の記号および単位系を使用する。また、計算で使用した数値を併記する。
充填元容器の圧力PH=103.3 [kgf/cm2abs]
充填先容器の初期圧力P0=10.33 [kgf/cm2abs]
充填先容器の体積V=1964 [L]
充填先容器の初期温度T=273 [K]
絞り径S=10000 [mm2]
標準大気圧PS=1.033 [kgf/cm2abs]
比熱比γ=1.4 [-]
参考文献[1]より、オリフィスを流れる空気流量の実用式を使って、充填時間t[s]は次のように求められる。
表1 音速域、亜音速域の充填時間
音速域の充填時間 | $$ t=\frac{V}{0.185SP_S\gamma}\sqrt{\frac{273}{T}}\frac{P-P_0}{P_H} $$ |
亜音速域の充填時間 | $$ t=0.757\times\frac{V}{0.185SP_S\gamma}\sqrt{{273}{T}} $$ |
解析モデル#
Advance/FrontNet/Γによる解析モデルを図2に示す。
図2 Advance/FrontNet/Γによる解析モデル
充填元のタンクは流入境界条件扱い(圧力指定)とし、充填先のタンクは10分割して計算を行った。流出境界では流量=0を指定した。計算開始直後に充填先のタンク内で衝撃波の発生および往復がみられたため、これを緩和するために、充填先のタンクの管摩擦係数を1とした。
解析結果#
図3に圧力の計算結果を示す。参考文献にある解析式についても赤および青線で示している。計算では解析式に比べ圧力上昇がわずかに速く、音速状態(臨界流)が0.25sまでとなり、その後、圧力比が臨界圧力比を下回り、亜音速となった。全体的な振る舞いは解析式とよく一致する。図4、5に示すように、充填先では充填による温度上昇や温度上昇に伴う音速の増加がみられた。
図3 計算結果(充填先の圧力の時系列変化)
図4 計算結果(温度の時系列変化)
図5 計算結果(音速の時系列変化)
図6 計算結果(流速の時系列変化)
参考#
[1]中西 康二、「基礎から学ぶ空気圧技術」、オーム社