多孔性媒質を考慮した流れ場の評価#
解析概要#
流体計算を行うために、多孔性物質を詳細に表現しつつ計算格子を作成することは困難です。解析において植栽・防風壁・フィルタなどが存在する場合は有効な多孔質モデルを用いることが適切です。本解析ではFrontFlow/redに組み込まれた多孔性物質モデルを用いたシミュレーションを行い結果を実測値と比較します。
解析領域は図1のような2次元領域で、流入側から2mの位置に多孔性物質として、厚さ0.5m、高さ2mの植栽壁を設置します。
計算条件の概要#
シミュレーションの計算条件を以下のように設定します。
1 境界条件
境界 | 境界条件 |
---|---|
流入 | 10[m/s]の一様流速 |
流出 | 開放 |
下端 | 滑り無し壁 |
上端 | 壁り壁 |
2 初期条件
項目 | 設定 |
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流速 [m/s] | (u,w) = (10,0) |
3 物性値
項目 | 設定 |
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空気の密度 [Kg/m] | 1.2 |
粘性係数 [Pa s] | 1.82 x 10 |
4 時間積分
項目 | 設定 |
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時間刻み[s] | 0.001 |
計算ステップ数 | 2000 |
植栽の効果は多孔質媒質のべき乗則モデルとして与え、運動量方程式に という生成項を加えることで与えます。ここで は速度方向の単位ベクトルであり、とはユーザー定義のパラメーターです。(本計算ではそれぞれ、、と与えました。)
解析結果#
定常解に達したときの圧力分布と風ベクトルを図2に示します。圧力分布はカラーマップで示されており、規格化速度に対する等値線を引いています。流れは植栽壁を回り込むように流れているものの、一部植栽壁を通過するものもあります。
植栽壁回りの流速分布の詳細は図3に示されていて、計測値([1]を参照)と比べることでモデルが現実的な結果を与えていることが分かります。
適用例#
暴風壁と同様に、フィルターを通過する流れやファンを通過するときの影響を近似的に扱う場合に適用できます。
参考文献#
[1] 風工学研究所編著, 2005年, 「ビル風の基礎知識」 p76,77, 鹿島出版会
関連ページ#
- 流体解析ソフトウェア Advance/FrontFlow/red
- 解析分野:流体
- 産業分野:建築土木