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スライディング格子機能の基本検証#

概要#

本検証は、AFFr のスライディング格子機能の基本的な動作と精度を検証することを目的としています。具体的には、流入中に回転する回転角柱の空力音響解析を行い、主要な無次元数であるストローハル数 (St) とスピンパラメータ (S) の関係を、先行研究の文献と比較することで機能の妥当性を評価しています。

解析モデル#

解析対象は、一様な流れの中に設置された回転角柱です(図1)。

解析領域は、直方体の静止系領域と、角柱を含む円筒形の回転系領域から構成され、この二つの領域の間にスライディング面を設けています。

解析領域の寸法は、長手方向26m、高さ11m、幅2mです。

解析規模は、節点数 25,919、要素数 22,260です。

解析領域

図 1. 解析領域

解析条件#

解析条件を表 1にまとめています。

表 1.解析条件

項目 設定
流入速度 2.47[m/s]
レイノルズ数 7100
回転数 175.8、220.8、270[rpm]
流体 非圧縮性流体
乱流モデル LES (標準Smagorinskyモデル)
差分スキーム 2次中心差分
時間積分 Euler陰解法

解析結果#

以下に解析結果を示します。

・175.8rpmのケースの瞬時値

図2は、175.8rpmのケースの瞬時値として、静圧分布、速度絶対値、速度分布をまとめたものです。 剥離や後流の形成といった回転角柱周りの流れの複雑な挙動が視覚化されていることがわかります。

解析結果

図 2. 175.8rpmのケースの瞬時値

・周波数スペクトル

図3は、特定位置における音圧レベルの周波数スペクトルを解析結果を示しています。 回転数に応じた第一ピーク周波数(175.8rpm で 11.8Hz、 220.8rpm で 14.6Hz など)を特定しています。 このピーク周波数から算出されたストローハル数 (St) とスピンパラメータ (S) の関係が、 参考文献(*)による理論曲線(角柱形状を反映した周期を再現)とほぼ良好に一致する結果を得ていることがわかります。

解析結果

図 3. 周波数スペクトル

まとめ#

本検証により、AFFr のスライディング格子機能が、流入中の回転体周りの過渡的な流れや、それに起因する音響現象を精度良く再現できることがわかります。 また、空力音響的な特性を支配する無次元数の関係は、参考文献(*)による理論・実験結果とほぼ良好に一致する結果を得ています。

(*)参考文献:黒田 成昭, 小川 誠司, 黒田 治彦, 藤井 義久, 一様流中で回転する多角柱まわりの流れ : 回転数と渦周波数の同期現象について, 日本機械学会論文集B編 62巻597号, 1709-1715, 1996.

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