スロッシング解析によるVOF法の基本検証#
目的#
本解析は、CFDで広く用いられるVOF (Volume of Fluid) 法をAFFrに用いて、タンク内などの容器内で発生するスロッシング(液体が揺動する現象)時の液体挙動の予測精度を検証することを目的とします。これにより、AFFrでのVOF法の基本的な適用性と信頼性を確認します。
解析モデル#
解析対象は、直方体の容器(横幅0.46m、高さ0.3m)に、初期液深 0.122mで液体を充填したモデルです。解析領域および液体の初期値を図 1に示します。
図 1. 解析領域
解析条件#
液体に対し、外部から横方向の加速度Gを強制的に加えます。加速度の入力値は、図2のグラフに示すように時間変化し、6点を直線補間して与えられています。この加速度によって液体のスロッシングを誘発し、その際の挙動をVOF法で追跡します。
図 2. 横方向加速度の入力値(6点を直線補間して使用)
解析結果#
図3に、20msecから60msecまでの時間経過に伴う速度分布(流速ベクトル)と液体挙動(自由表面形状)の解析結果を示します。 液面が大きく波打ち、容器壁面を駆け上がる様子が確認できます。 液体の動きと速度場の変化が、VOF法によって適切に捉えられています。 20msecから60msecまでの液体挙動の計算結果は参考文献の実験結果(*)と良好に一致しています。
解析結果 速度分布と液体挙動
まとめ#
本解析でのAFFrの液体挙動の計算結果は、参考文献の実験結果(*)と良好に一致していることから、AFFrのVOF法がスロッシング現象、特に自由表面の移動を伴う非定常流動の解析において、高い予測精度と有効性を持つことがわかります。
(*)参考文献:
M.Nakano and T. Iwamoto,"Analysis of the Behavior of Liquid in a Fuel Tank", SAE paper No.881782, 1988.