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塗布解析によるVOF法の基本検証#

目的#

AFFrでVOF法(Volume of Fluid法)を用いた塗布解析において、ウェブ速度、ビート後部減圧度、および形状などの条件が、以下の現象の予測精度に与える影響を検証します。

・濡れ上がり

・正常塗布

・空気巻き込み

解析モデル#

解析モデルとして、スロットダイ塗布プロセスを対象としています。 ウェブ(基板)とダイ(ノズル)の間に形成されるビード(液膜)の挙動を評価します。解析モデルおよびメッシュを図1に示します。 図1に示すように、ウェブが移動し、ダイから塗布液が供給される構造を模擬しています。

解析モデル

図 1. 解析モデル

解析条件#

数値解析にはVOF法を適用し、主な解析条件を表 1にまとめています。

表 1.解析条件

項目 設定
スリット流入速度 0.17m/s
ウェブ速度 0.5 m/s
表面張力係数 0.061 N/m
静的接触角 ダイと液の濡れ性 60°、ウェブと液の濡れ性 40°

解析結果#

ビート後部減圧度を変化させたときの速度分布と液体分布の変化を解析しています。図2に解析結果を示します。

・1750 Pa および 500 Pa の場合: 正常塗布が再現できています。

・ 250 Pa の場合: 空気巻き込みが発生する結果となっています。特に、ビート後部減圧度が 500 Pa ~ 1750 Pa で正常塗布となるという参考文献(*)の実験結果を数値的に再現でき、VOF法の基本性能が確認できています。

解析結果

図 2. 解析結果

まとめ#

本解析により、AFFrによるVOF法を用いたCFD解析が、スロットダイ塗布プロセスにおけるビート後部減圧度の変化に伴う正常塗布から空気巻き込みへの遷移現象を精度良く予測できることがわかります。 この結果は、AFFrによる塗布現象の定量的評価の可能性を示唆しており、実機開発における条件検討に活用可能と考えられます。

(*)参考文献:安原 賢(三菱製紙), 塗布流動シミュレーションの現状と今後の展望, 化学工学会第36会秋季大会, E2P08, 2003.

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