水と油の混合解析#
概要#
液相と空気の自由表面を考慮し、水と油の混合挙動を実験[1]の条件で行った解析事例をご紹介します。
参考文献
[1]荒木 健, 越村 俊一,格子ボルツマン法による二相流れ場の数値シミュレーション,土木学会東北支部技術研究発表会(平成21年度).
解析条件#
図1に解析モデルと空気・水・油の初期値を示します。セパレータで水(青色)と油(赤色)を分け、それぞれ高さ4cmまで貯めた状態を初期値とします。セパレータを外し、水と油が密度差によって混合する非定常挙動を1.4秒まで計算します。
図1 解析モデルと空気・水・油の初期値
解析条件 | 設定値 |
---|---|
次元 | 2 |
解析領域 | 20 cm × 10 cm |
水と油の間の表面張力 | あり |
空気の密度 | 1.166 kg/m3 |
空気の粘性係数 | 1.820x10-5 Pa・s |
水の密度 | 998.2 kg/m3 |
水の粘性係数 | 1.002x10-3 Pa・s |
油の密度 | 898.4 kg/m3 |
油の粘性係数 | 2.705x10-2 Pa・s |
液相の初期高さ | 4 cm |
水平方向の格子数 | 100(等分割) |
垂直方向の格子数 | 50(等分割) |
運動方程式の対流項差分スキーム | 2次風上差分 |
水と油の質量保存式の対流項差分スキーム | M-CICSAM |
時間刻み | 2x10-4 s |
解析結果#
水と油と空気の界面形状の時間変化を図2に示します。参考文献[1]に示されている実験画像のように、油は水の上を広がり、水は油の下を広がる挙動を再現できています。
図2の1.4sに示すA点(左壁面から5cm)とB点(右壁面から5cm)における水と油の層厚の時間変化を図3に示します。A点の1.2s以降を除けば水と油の層厚の計算結果は実験結果を再現できています。
0s
0.2s
0.7s
1.4s
図2 水と油と空気の界面形状の時間変化
図3 水と油の層厚の時間変化
本解析でわかったこと#
液相と空気の自由表面を考慮し、水と油の混合挙動を計算した結果、水と油が密度差によって混合する非定常挙動を概ね再現できることがわかりました。
関連ページ#
- 気液二相流解析ソフトウェア Advance/FrontFlow/MP
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- 産業分野:材料・化学