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Advance/FrontFlow/redの専用サイトを開設いたしました。

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Advance/FrontFlow/redの専用サイトを開設いたしました

1次元・2次元デトネーションの検証解析#

概要#

流体解析ソフト Advance/FrontFlow/red により、デトネーション現象を再現できるかを検証した事例です。対象は、Kwak ら*の1次元デトネーション管と、2次元の回転デトネーションエンジン(Rotating Detonation Engine, RDE)です。

1次元では、予混合の水素・酸素を一端から着火し、格子幅を変えて伝播速度と波面圧力を比較しました。2次元では、周方向 31.25 mm、軸方向 60 mm の領域を周期境界でつなぎました。量論の水素・空気混合気を入口から供給し、周方向に伝播するデトネーション波を解析しました。いずれの結果も文献とよく一致し、デトネーションを伴う高速燃焼の検証に使えることを確認しています。

* Keunjae Kwak, Hyoungwoo Kim, Je Ir Ryu, Dong-Hyuk Shin, “Application of a Pressure-Based OpenFOAM Solver for Rotating Detonation Engines,” arXiv:2508.16105, 2025. https://arxiv.org/abs/2508.16105

解析条件#

計算には Advance/FrontFlow/red Ver. 5.9(カスタム版)を用いました。使用した計算スキームを表1に示します。

表1 使用した計算スキーム
項目 設定
ソルバ Advance/FrontFlow/red Ver. 5.9 / custom
空間離散化 有限体積法、セル中心法
対流項スキーム 運動量は1次精度風上。エネルギーと化学種は3次精度風上差分
圧力・速度カップル法 SIMPLE法
勾配計算 Green-Gauss法
時間積分 Euler陰解法
行列計算 ICCG法、Bi-CGSTAB法
乱流モデル なし(層流)
化学反応 素反応モデル(逆反応の係数は化学平衡から算出)
化学反応積分 PARASOL(Shang ら、AIAA 95-0806)
熱力学変数 NASA7多項式
輸送係数 粘性、拡散係数、熱伝導率ともに Lennard-Jones パラメータによる実在物性
輻射 なし

1次元デトネーション管#

直管を量論の水素・酸素混合気で満たし、閉端側の高温高圧核から着火します。未燃側は圧力 0.1 MPa、温度 300 K、着火核は圧力 5 MPa、温度 3000 K です。格子幅 0.20 mm、0.10 mm、0.05 mm の3ケースを比較しました。計算領域の長さは 0.25–0.60 m で、文献の1次元管(全長 9 m)より短い領域で波面を追跡しています。

表2 1次元解析の格子
ケース 領域の長さ 格子幅
格子依存性(本解析) 0.25–0.60 m 0.20 / 0.10 / 0.05 mm
文献の1次元管(参考) 9 m 0.2–0.0125 mm

2次元回転デトネーション#

計算領域は周方向 31.25 mm、軸方向 60 mm、格子幅 0.0625 mm で、セル数は約48万です。文献と同じ寸法と格子幅にしています。燃料は量論の水素・空気です。入口は Schwer の等エントロピー注入で、よどみ圧 1 MPa、よどみ温度 360 K としました。点火中の左右境界は圧力を外挿する開いた境界とし、デトネーション波が右端に到達した直後に周期境界へ切り替えます。出口は無反射の透過境界です。基準の計算は 16 MPI で行いました。

表3 2次元解析の格子
項目 設定
計算領域 周方向 31.25 mm × 軸方向 60 mm
格子幅 0.0625 mm
セル数 約48万
混合気 量論の水素・空気
入口 よどみ圧 1 MPa、よどみ温度 360 K
並列数 16 MPI

解析結果#

1次元:格子解像度#

波面の伝播速度は、どの格子でも Chapman–Jouguet(CJ)速度 2835 m/s の約 1% 以内でした。ピーク圧力は格子を細かくするほど高くなり、文献と同じ向きの格子依存性を示します。格子幅 0.20 mm、0.10 mm、0.05 mm のピーク圧力は、それぞれ 2.62 MPa、2.84 MPa、3.03 MPa でした。

1次元デトネーションのピーク圧力と波面分布
図1 1次元デトネーションの格子依存性

格子幅による伝播の違いは、次の動画で確認できます。上段が圧力分布、中段が圧力波形、下段が温度波形で、破線は CJ 速度に相当する位置です。

図2 1次元デトネーション波の伝播(格子解像度の比較)

1次元:反応機構の比較#

水素燃焼の詳細反応機構である Burke(2012)と San Diego(2016)を、格子幅 0.20 mm で比較しました。文献で用いられているのは San Diego です。伝播速度は Burke が 2830 m/s、San Diego が 2799 m/s で、CJ 速度 2835 m/s との差は小さく、機構による大きな違いは見られませんでした。プローブ位置のピーク圧力は、San Diego の方が低くなりました。

BurkeとSan Diegoの圧力・温度・伝播速度
図3 Burke機構とSan Diego機構の比較(格子幅 0.20 mm)

2次元:流れ場#

定着後の瞬時場では、周方向へ進むデトネーション波、斜め衝撃波、波の直後で注入が止まる区間、膨張のあと未燃気が入る区間が確認できます。斜め衝撃波の傾きは鉛直から約 30° です。出口へ伝わる波の角度や、温度・圧力の分布は文献の結果をよく再現しています。OpenFOAM による文献の結果と比べると、本解析ではより細かな波が捉えられています。

温度、圧力、マッハ数、速度、密度、OH質量分率
図4 定着後の瞬時場(San Diego機構)

定着後、流れ場が準定常の周期解に落ち着いたあとの様子を動画にしました。表示は周方向に3周分をつなげたビューで、温度、圧力、密度、速度、マッハ数、化学種の質量分率を順に示しています。反応機構は San Diego(12化学種、24反応)です。

図5 2次元回転デトネーションの周期解

2次元:伝播速度#

波面位置の履歴から求めた伝播速度は 1793 m/s でした。Kwak らの 1818 m/s に対して約 1% の差で、よく一致しています。

波面位置の履歴と伝播速度の比較
図6 デトネーション波の位置履歴と伝播速度

2次元:反応機構の比較#

Burke と San Diego で、デトネーション波と斜め衝撃波の構造は大きく変わりません。反応機構の違いにより化学種の組成が変わり、最大温度と最大圧力は変化します。

Burke機構とSan Diego機構の温度、圧力、マッハ数、速度、密度、OHの比較
図7 Burke機構とSan Diego機構の流れ場

本解析でわかったこと#

Advance/FrontFlow/red により、文献の1次元および2次元デトネーション解析を良好に再現できました。

  • 1次元では、デトネーション波の速度が CJ 速度 2835 m/s とほぼ一致しました。ピーク圧力は格子を細かくすると高くなり、文献と同じ傾向でした。
  • 2次元では、波の伝播速度が Kwak らの 1818 m/s に対して 1793 m/s とよく一致しました。波の角度、温度、圧力の分布も文献の図を再現しています。
  • 反応機構を Burke と San Diego で変えても伝播速度の差は小さく、流れ場の構造も大きくは変わりません。ピーク圧力や最大温度には機構の違いが現れます。

参考文献#

  1. Keunjae Kwak, Hyoungwoo Kim, Je Ir Ryu, Dong-Hyuk Shin, “Application of a Pressure-Based OpenFOAM Solver for Rotating Detonation Engines,” arXiv:2508.16105, 2025. https://arxiv.org/abs/2508.16105

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